認可保育園に入るための裏技として「偽装離婚」をしている世帯があると言われています。たしかに、ひとり親世帯になると認可保育園に入りやすくなるのは事実です。(もともとフルタイム共働きであることが前提ですが)
それでも、認可保育園に入ることを目的とした離婚はオススメできません。仮に認可保育園に入れたとしても、その後のリスクが大きすぎるからです。そのオススメできない理由をこれから説明していきます。
1.家族で一緒に住めなくなる
偽装離婚するためには、妻と夫は住居を別にしなければなりません。実際に2つの住居を用意するとすれば、家賃は倍増します。
お金の苦労もさることながら、一緒に住めないことは心理的にも肉体的にも苦労を伴うことになります。一緒に暮らしているからこそ気持ちを共有できるし、愛情も育むことができるというもの。物理的な距離があると、心理的な距離も開いてしまうのです。
これを乗り越えている遠距離カップルや単身赴任の家族もいるでしょうが、それは容易なことではありません。
2.夫が育児に関われなくなる
離婚したことになっている以上、保育園の先生や、同じクラスの保護者には父親の存在を悟られる訳にはいきません。そうすると保育園の送り迎えを夫に頼むことはできなくなります。健康である時は問題ないかもしれませんが、妻が風邪で倒れた時、入院した時に夫の手が使えないとなると、代替手段を考えねばなりません。
また土日においても、どこで誰の目に触れるか分かりませんから、夫と子どもは一緒に出掛けられないことになります。ましてや認可保育園であれば、同じクラスの保護者は住んでいるエリアは一緒ですから、知り合いの目に触れるリスクは相当に高くなります。
このような状態が常態化すると、子どもは夫に懐きにくくなり、夫も子どもへの愛情を育めないようになるだろうと予想されます。すると、夫が育児に関われない状態が加速していくことになります。
3.偽装離婚を報告されるリスク
周囲に偽装離婚であることを気付かれないよう涙ぐましい努力をしたとしても、ふとした折に気付かれてしまう可能性は高いです。同じエリアに住んでいる人同士であれば、家族全員が一緒でいるところを目撃されることも考えられますし、なんとなく会話の端から「なんだかオカシイな」と気付かれることも考えられます。
苦労して認可保育園に入った人や、認可保育園に入れなかった人、真っすぐな心を持つ人に「偽装離婚という不正を働いて認可保育園に入った」と疑義を持たれてしまったら・・・おそらく見逃してはもらえないでしょう。
保育園や区役所窓口に偽装離婚の疑いを報告される可能性は高いと思われます。
報告されてしまったら、区役所から確認の連絡が来ることになります。偽装離婚と認識されれば、保育園は退園ということになるでしょう。
4.偽装離婚のはずが、本当の離婚になるかもしれない
あくまでも「認可保育園に入るための偽装離婚」とのことですが、本当にそれで済むのでしょうか。おそらく、本当の離婚の可能性なんて微塵も感じていないからこそ偽装離婚を考えているのだと思います。
でも本当に相手も同じ考えでしょうか・・・?
こんなことを言うと怖いですが、もともと夫婦は他人です。離婚してしまったら赤の他人に戻ってしまいます。実際に離婚する際には、子どもの将来を考えて養育費をキッチリと約定してもらわなければ、長い年月を後悔することになります。
偽装離婚でアッサリと法的な縁を切ってしまった後、夫側の気持ちがプッツリと切れて「あ、もういいや。本当に離婚しよう。サヨナラしよう」となった時に、もうどうにもしようがありません。養育費の取り決めは離婚の際に行われねばならないので、後からでは遅いです。
一緒に暮らさなくなって、夫が育児に関わらなくなって、子どもも夫も愛情を感じなくなったら・・・なんだか本当に関係性が危うくなると思いませんか?
5.後悔してからでは遅い
保育園に入れるか否かは、人生を左右するような大きな問題です。保育園に入るための手段を考えた結果、偽装離婚にいきつくのも理解できます。
ですが、これまで説明したように偽装離婚はリスクが大きすぎます。さらに人生を大きく変えてしまう恐れもあるのです。
認可保育園に入るための離婚は、私はオススメしません。
代わりに、認可保育園に入りやすいエリアを検討してみてはいかがでしょうか。
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