港区といえば、かつては待機児童0と言われていた区です。
しかし待機児童0の噂を聞いて転入してきた人が増加して、待機児童数が一気に増加、保育園を希望する人のうち半数が不承諾になってしまったとのニュースで取り上げられていました。
そんな港区ですが、実際に認可保育園には入りづらいのでしょうか?
1、【港区】認可保育園の定員数
港区に住む0歳~5歳の子供の数は16,906人です(2018年4月1日時点。港区年齢別人口表より)
0歳児 2,927人
1歳児 3,026 人
2歳児 3,007人
3歳児 2,830人
4歳児 2,573 人
5歳児 2,543 人
それに対して認可保育園の定員数は5,013、小規模保育等を含むと6,937人です。全体に占める割合は約41%となっています。
もちろん全員が保育を必要としているわけではないでしょう。育休中であったり、専業主婦(夫)家庭であったり、同居家族が子どもの面倒を見ていたりするかもしれません。0歳~1歳であれば、まだ育休取得中かもしれません。4~5歳は幼稚園に入っているかもしれません。
港区で認可保育園が十分に足りているのかは、次の項目で確認してみましょう。
2、【港区】認可保育園の内定結果(2018年)
一時利用調整の結果
それでは、平成29年度の結果(一次利用調整)を見てみましょう。
港区の場合、保育園別に内定した方の最低指数を公表しています。エリアを芝、麻布、赤坂、高輪、芝浦港南の5つに分けて公表していますので、エリア毎の分析がしやすくなっています。緑の枠は、そもそも受け入れをしていない年齢になります。
結果を見ると、0~1歳クラスは40点では認可保育園に入れるか入れないかグレーゾーンのようです。港区保育施設や小規模保育であれば定員割れしているところや最低指数が22点を下回るところもありますので、保育園を選ばなければフルタイム共働きでなくとも何処かしらには確実に入れる状況です。
2歳クラスになると、そもそも募集枠がなくなってしまうので保育園の選択肢が少ない状況のようです。港区内認可保育園等一覧の定員数を確認してみると、0歳→1歳のときには定員数が増えますが、1歳以降は定員数が増えません。このため、在園している1歳児の持ち上がりで2歳児の枠は埋まってしまうようです。親の転勤等による引越しで偶然空きが出ない限りには募集枠が出ないことになります。
特に芝エリアでの2歳募集枠は0で、全く入れる余地はありません。3歳以降も同様にほぼ空きはないようです。ただし、港区保育施設や小規模保育であれば空きがあるので、やはり保育園を選ばなければフルタイム共働きでなくとも何処かしらには入れる状況ではあるようです。(注:小規模保育は2歳までなので、3歳に上がる際に再び保活を行う必要があります)
その他のエリアを見ると、ちょこちょこと募集枠はあるようで、40点未満の指数でも入園できているようです。
3歳以降は非公開が多いため詳細は読み取れませんが、幼稚園という選択肢も増えるため保育園の需要が減り、定員割れとなっている保育園が増えます。(「認可保育園の空き情報」にて定員割れの状況が確認できます)
認可保育園の空き情報
一次利用調整の結果からは2~5歳の募集枠は数少ない貴重な枠のように見えるのですが、認可保育園の空き情報を見ると、多くの認可保育園に空きがあることが分かります。
0~1歳児もポツポツと空きがありました(月次で空き情報は更新されるので、ほとんどは翌月に埋まっていましたが)
待機児童数の状況について
港区が「平成30年4月の待機児童数の状況について」という名称で公表しているデータによると、申込者数と待機児童数は年齢別に下記のとおりになります。※( )が待機児童数。
0歳 902人(21人)
1歳 917人(43人)
2歳 462人(31人)
3歳 257人(2人)
4歳 143人(0人)
5歳 112人(0人)
一方で認可保育園等の空き状況は0歳が48人、1歳が37人、2歳が46人、3歳が130人、4・5歳が251人となっており、待機児童をほとんどカバーできるだけの余力はあることが分かります。
「港区は待機児童が0と聞いて転入者が増えた結果、待機児童も激増した」という話でしたが、平成30年4月においては「保育園を選ばなければ、ほぼ全員が認可保育園等に入れる状況」という実態のようです。
※平成29年4月の1歳児クラスに関しては待機児童数116人に対して保育園の空きは7人だったので、「港区に引越してきたものの認可保育園に入れなかった!」という世帯も相当数いたのだと思います。
3、【港区】認可保育園に内定している人たち
すでに前項で答えが出てしまいましたが、保育園を選ばなければ、ほぼ全員が認可保育園に入れる状況のようです。
一方で第1希望の保育園に内定しているのは、どのような世帯なのでしょうか。
港区においては指数順、指数が同じであった場合には、待機期間が6カ月以上で復職&認可外保育園に預けている、兄弟が港区認可保育園に在園している等の具体的な項目で優先順位をつけています。
港区においては一般的なフルタイム共働きの家庭が40点の指数となります。兄弟がいる認可園への申請はプラス1点。そのほか加点となる項目は多くありません。
これらの前提条件を基に、希望を叶えている世帯を推定してみましょう。
※港区における認可保育園の選考基準はコチラ
①生活保護世帯・両親不存在
48点となるため、まず間違いなく第1希望に通るでしょう。
②ひとり親世帯(フルタイム勤務)
42点となるため、まず間違いなく第1希望に通るでしょう。
③申請児もしくは同居児童が障害児である場合
42点となるため、まず間違いなく第1希望に通るでしょう。
④第1希望の認可保育園に兄弟姉妹がいる場合 or 双子以上の申請 or 危険物を取り扱う自営
41点となるため、ほぼ第1希望に通ると思われます。ただし41点でも入れていない認可保育園もあることから、確実とは言えない状況です。
同指数の場合は、6カ月以上の待機期間&認可外保育園に預けて復職 > 兄弟姉妹が港区の認可保育園に在園 > 双子(兄弟同時申請)> 小学生以外の子どもの数 といった順番で優先順位がつけられるので、早めに復職している場合には間違いなく第1希望に通るものと思われます。
なお0歳児は世帯年収の闘いになるものと推測されます。
⑤通常のフルタイム共働きの場合
40点となるため、第1希望に入れるかは怪しいところです。
同指数の場合は、6カ月以上の待機期間&認可外保育園に預けて復職 >同居児童の同時申込 > 小学生以下の子どもの数が多い >居宅型訪問保育事業(ベビーシッター)から認可保育園への転園 といった順番で優先順位がつけられるので、0歳クラスは兄弟で同時申込するケース、1歳クラスは早期に職場復帰しているケースですと第1希望に通るものと思われます。
それ以外は世帯年収の闘いになるものと推測されます。港区は世帯年収の階層が高い世帯が多いので、ボーダーとなる世帯年収は相当高いのではないかと思います。実際のところが気になりますね。
4、結論
結論:港区で保育先に困ることはない!
港区では保育園を選ばなければ、ほぼ確実に認可保育園(小規模保育など含む)に入ることができます。また万が一、小規模保育などにも入れなかった場合には認可保育園と同じ保育料でベビーシッターを利用することもできます。
港区においては「子どもを預ける先がないまま育休が明けてしまうから、退職しなければならない」というリスクは皆無です。
お金持ちの自治体だから成せることでしょうか。とてもうらやましい限りです。
ぜひ他の自治体の状況も見てみてくださいね。
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